Guitars590’s blog

愚か者の力を馬鹿にしちゃあいけない。

 木部を直接染めなければならないいくつかの典型的なシチュエーション

マホガニーボディのギターのネック、バック、サイドを着色する場合
もしトップがスプルースで(よくあるように)ナチュラルにしたい場合、注意深くトップをマスキングすること、スプルースの上にうっかり触れてしまって、染料を取り除かなければならない様なことにはなりたくないだろうから。
・フィギュアド・ウッドへのハイライトニングとカラーリング 特にメイプル、中でもカーブのある部分、吸収性のある木目の末端部に染料は染み込む、木の杢の中で陰影を形成する。
・単色の楽器を染める。 グレッチの6120やギブソンのES-335など。これらの初期のステインは、その上にクリアフィニッシュの最終コートをすることによって唯一無二の色を得ている。もし、色がアンダークリアコートに封入されてしまったり、シェーディングやトーニング(Step8)で後からさらに着色した場合、クリアフィニッシュの最終コートは色に価値を与えてくれる。
・より濃いサンバーストカラーに続く最下層の黄色の「ベースコート」あるいは「グラウンドコート」を施す。水性あるいはアルコールベースのステインをスプレーあるいは手で木地に直接塗り広げることができる。
・木地のスプルースであっても、赤・黄・金・茶・黒の陰影によるサンバースティング。Chapter10にある様々なサンバースティングのレシピをチェックすること。
・明るい木、特にメイプルの樹液を取り除く(抑える)ステイニング。暗色の木はステインに溶け込み、樹液が取り除かれる傾向がある。これは、マホガニーのバックとサイドの楽器でネックにメイプルが利用されている場合に特に一般的である。先ずメイプルをマホガニーに似せるために行われる。(1980年代のギブソンレスポールの殆どはチェリーレッドの色調材で陰影をつける前に一般的に行われている。)

手作業による着色
 手作業による着色は、マイナス面があるにもかかわらず、布で塗り広げられる。そして、1920年代の伝統的なギブソンのサンバーストの複製を作る方法として好まれる(選ばれる)。また、次に行うスプレーサンバーストの前に行う黄色のベースコートを塗り広げる方法としても楽なやりかたである。黄色は明るく、より濃いサンバーストカラーは、木の末端部や楽器の縁にできる染みやラップマーク(傷)を隠してくれるだろう。ラップマークはあなたが塗り広げる作業をとめた瞬間にできる。塗り広げるストロークを返す瞬間、あるいはあなたの使っている布が楽器に着いたり離れたりする時、その前の動作より力が入ってしまう(あるいは湿り気が重なる)。染みは木目の組織の部分に生じやすい(特に末端部分)。木の組織を取り囲むように染み込みすぎたり、染み込まなかったりといった状況であらわれる。この問題を最小限にとどめるためのトリックは、純粋な水やアルコール溶剤を用いて、ステインに可溶性が必要であったとしても、末端部分にあらかじめ染み込ませておくことにある。その結果染料が染み込みすぎることはなくなるだろう。
 水性ステインは手作業では広げにくいということを覚えておいて欲しい。それは、ラップマークがより強くなりがちだからだ。異議のある家具職人もいるだろうが、ギターフィニッシングにおける一般的な考え方として、アルコールステインによるラップマークより、水性ステインによるラップマークの方が好ましくない。木は水に対して非常に相性が良すぎ、水も木に対して相性が良すぎる。この、浸透(侵入)しすぎないという理由から、手作業によるサンバースティングにはアルコールステインでおこなう方がやりやすい作業だということができるのだ。