Guitars590’s blog

愚か者の力を馬鹿にしちゃあいけない。


chapter 1

Topcoats and Solvents(トップコートと溶剤)

 私たちは、あなたが使いやすく最も一般的なフィニッシュについて、そして、それがどんな成分なのかを説明することから始めよう。私たちは、他のタイプのフィニッシュについても、もちろん言及する。それは、ギターフィニッシュのための溶剤、シンナー、その他の薬剤すべてにおよぶ。私たちは、それらを皆さんに説明し解明することになるだろう。3つのベーシックなフィニッシュ・タイプには、それぞれにぴったり合った、上手く作用する溶剤がある。もしあなたがそれらのフィニッシュと溶剤の働きを理解したら、ギターフィニッシュの作業をさらに上手くおこなうことができるだろう。
 乾燥の仕方の違いで、気化・反応・融合の3種類のベーシックなフィニッシュがある。
そうは言っても反応フィニッシュ(バーニッシュやオイルフィニッシュ)は、楽器の伝統的なフィニッシュとして確固たる位置があるし、融合(ウォーターベース)と、特に気化(ニトロセルロースラッカー)は、この本全体を通して言及するフィニッシュ・タイプである。ニトロセルロースラッカーは、ギター・フィニッシュ産業の大黒柱として1920年代からおこなわれており、私たちはそこから始めることにする。

Evaporative Finishes (気化的なフィニッシュ)
 ニトロセルロース、ビニール、アクリルペレット、シュラック・フレーク、その他の天然樹脂や合成樹脂などの硬質な気化的なフィニッシュは、それらにふさわしい溶剤を用いることで溶解する。空気に触れることにより、通常、速乾性の溶剤は気化し、樹脂は本来の硬さに戻る。溶剤で溶けていれば、硬質だった樹脂は木の表面でフィルムのように一体化する。気化フィニッシュには、キズや打痕に対する最小の抵抗力がある。そして、気化フィニッシュは水分と溶剤の浸透に影響されやすい。というのは分子が並んでくっついているだけで、分子同士が互いに交差し繋がり合っているわけではないからだ。多くの楽器は通常、メインテナンスやケアされることでこれらの欠点を特に問題点とはしていない。
 気化フィニッシュは塗るのは比較的やさしい。それは割に早く乾燥し、サンディングがしやすく、光沢を得るためのバフがけがしやすいからだ。気化的なフィニッシュは、古い塗装面に新しい塗料を乗せても溶け合ってしまうので、目に見える段差がなくなるので、リペアするのも容易である。
 おそらく、最初の気化フィニッシュはシュラックだろう。長期にわたってシュラックの産地はインドシナであった。ラックカイガラムシの雌が、樹木の大枝に残した残留物を人間が集め、きれいにしてからアルコールで溶かしシュラックとして利用したのだ。溶剤ラッカーとシュラックは今日手に入る最も一般的な気化的なフィニッシュである。