Guitars590’s blog

愚か者の力を馬鹿にしちゃあいけない。

 Solvent and Thinners(溶剤と薄め液)
 溶剤と薄め液は、初心者には混同される用語だが、必ずしも同じではない。溶剤も薄め液も、フィニッシュが形成された後は完全に蒸発してしまう。溶剤とは、固形の材料を溶かし、液状にして使えるようにするための液体である。薄め液は既に溶けている材料(塗料)を希釈、薄めるための液体である。時々、同じ液体が溶剤にも薄め液にも使われる。だが、全く異なったものが、使われることもある。例えば、シュラックフレークは、アルコールで溶けるし、同じアルコールで異なったカットに薄めることができる。ラッカーシンナーは、溶剤と希釈剤の混合物であり、ニトロセルロースレジンの主溶剤と同じではない。
 薄め液は、フィニッシュ剤が硬化していなければ、スプレーガンやフィニッシングの道具類を掃除するのにも使うことができる。それは、混和性によるのである。つまり、薄め液は、液体塗料に混ぜられたり、希釈したりすることを意味しているのである。薄め液はフィニッシュ剤の量を増やしたり、粘度を下げたりする。溶けたシュラック剤にアルコールを加える。すると、薄め液(アルコール)で「カット」される。アルコールが、この場合薄め液である。あるいは、ポリウレタンバーニッシュに、ミネラルスピリッツ(工業用アルコール)を加える。すると、スプレーしやすいバーニッシュになる。これはミネラルスピリッツ(工業用アルコール)が、この場合の薄め液だからだ。
 ある製品が、どんなときに薄め液と溶剤の両方で効果を発揮するか、または、効果を発揮しないか、ということを理解しておくことは、大変良いことである。例えば、ラッカーシンナーはシュラックをある程度溶かすが、シュラックを薄めるのには使えない。他の例は、硬化したラッカーフィニッシュやシュラックフィニッシュの上にラッカーシンナーやアルコールをこぼすと、あなたは非常に大きなトラブルを抱えることになる。逆に、ラッカーシンナーも、工業アルコールも、硬化したバーニッシュフィニッシュは溶かさない。
 Lacquer thinner(ラッカーシンナー)
 ラッカーシンナーは揮発性有機化合物の混合物であり、ラッカーの希釈剤でもあるし、穏やかに作用する溶剤でもある。ラッカーシンナーは、スプレーガンからラッカーが適切に噴射できるように、粘度を下げるのに使われるし、あとで掃除をする時にも使われる。アルコールを含んでいるので、ラッカーシンナーはシュラックやウォーターベースフィニッシュの穏やかな溶剤でもある。また、それだけでなく、シュラックやウォーターベースラッカーの掃除にも便利である。だが、シュラックを「カット」したり、ウォーターベースフィニッシュを薄めるのには、利用しない。ラッカーシンナーを利用する上で、他の重要な点は、ラッカーシンナーは、ラッカーやオイルに溶けたアニリン染料や色素剤を溶かすということだ。
 Alcohol(アルコール)
 (フィニッシングにおけるアルコールの主たる用途は)アルコールに溶けた染料を作ったり、液状にするために、シュラックを溶かしたり、スプレーイングのためにシュラックを薄めたり、フレンチポリッシングに利用したりすることである。一般的に手に入るアルコールは、メタノール(woodalchol)、イソプロピル(rubbingalchol)それからエタノール(grainalchol)である。メタノールは毒性が強く、イソプロピルは吸湿性(水分を吸収する)がある。だから、フィニッシング作業に使うのには、エタノールが好まれるのだ。
 ウッドフィニッシャーは、製造者によって飲めないように有毒成分が含有され、非課税で、何より安価なエタノールを、通常利用する。この変性アルコールは、シュラックの薄め液として、道具屋で購入する。他に使える変性アルコールは、Behkolが製造販売の独占権を持つ溶剤である。
 アルコールは、ラッカーとウォーターベースの製品を柔らかくするが、ラッカーシンナー程ではない。変性アルコールはシュラックを使ったスプレーガンの初期の清掃に最適であり、その後、ラッカーシンナーを使い清掃をする。アルコールは木地の拭き取りや、脱脂剤としても、非常に優れている。
 Mineral spirits、naphtha、turpentine(工業アルコール、ナフサ、テレピン
 これらの石油抽出物は、バーニッシュ、オイル(linseed、tung、Danish、ジェルフィニッシュ)、オイルベースのグレインウッドフィラーなどを薄めるのに通常用いられる。ナフサ、ミネラルスピリッツ(工業用アルコール)、キシレンテレピンなどは、バーニッシュやラッカー、シュラックフィニッシュを硬化させる働きを持っていないので、ラッカーを扱う道具を清掃するときによく利用する。ナフサは、あらゆる石油製品の最も良い脱脂剤である。というのも、塗料の下側にほんのわずかの油分しか残さないからだ。
 石油抽出物は、ワックス成分を溶かしたり、シリコンの汚れを取り除くのにも都合がよい。しかし、これらの製品をウオーターベースフィニッシュに使ってはいけない。
 Acetone(アセトン)
 アセトンは、ラッカーシンナーの構成成分である。経験豊富なプロのフィニッシャー野中には、塗料を早く乾かしたいときに、ラッカーシンナーの代わりに純粋なアセトンを実際に代用品にしている。ウエストコーストのラッカー調合者は、環境に有害な製品の代わりに、アセトンベースのラッカーを使っている。木の生地のクリーニングや脱脂、(アセトンの影響下でプラスチックが溶けるのに注目すると)白や黄色の接着剤や、スーパーグルーの除去など、フィニッシングにおいて、アセトンには様々な用途がある。
 Glycol ether(グリコール エーテル
 グリコールエーテルの名前は聞いたことがあるだろうが、グリコールエーテルという一般名称で、公に利用されることはない。ウォーターベース製品やニトロセルロースラッカーの中に通常使われているレジン溶剤のことである。グリコールエーテルは、橋渡しをする溶剤である。つまり、互いに配合不可能な薬剤を、互いに融和させることができるわけだ。グリコールエーテルは、通例ウオーターベースフィニッシュを作るのに使われる。アルコールやラッカーベースの素材(NGRステインなど)や、水に溶かした液状染料を利用した後に用いられる。
 グリコールエーテルにはエチレンとポリプロピレンの2つのグループがある。エチレンは非常に毒性が高いが、ギターフィニッシャーには最も利便性が高い。最大の注意を払い、必要に応じ利用すること。
 Butyl Cellosolve(ブチル基のCellosolve)
 エチレングリコールエーテルの一種であるButyl Cellosolveはラッカーの主要な溶剤であり、ラッカーリターダーの鍵となる成分の一つである。ラッカーに使われる化学製品で、有害なものの一つである。Butyl Cellosolveは手袋をして扱うべきで、すべてのラッカー製品と同様に、良く換気された場所で扱うこと。フィニッシュのタッチアップでは、前の塗料に溶け込むので、ラッカーフィニッシュのリペアには、Butyl Cellosolveに勝るものはない。古いフィニッシュの上に新しいフィニッシュをすると溶け込むので、境界となるラッカーの線を消す。また、(後のリターダーでも触れるが)ハケ塗りは妨げになるし避けること。
 Sherwin-Williamsのような大きな供給元からガロン単位でのみ入手可能である。普通のリターダーの代わりに、スロードライイングの混合物を作るのにButyl Cellosolveはノーマルのラッカーシンナー(あるいは既に薄められたラッカー)に加えることができる。
 Retarder(リターダー)
 リターダーは空気が湿ったコンディションの時に、失敗を避けるためにラッカーシンナーに加えられる。失敗は表層の塗膜が塗られる度にフィニッシュの下に水分が閉じ込められて白や青っぽい曇りを生じるのだ。リターダーシンナーを販売している業者もいる。(リターダーが既に混入されている)この製品には通常のラッカーシンナーよりも初期段階での溶剤が多く加えられている。このリターダーの乾燥時間には、閉じ込められた水分が抜けるための時間がある。Butyl Cellosolveが成分の鍵である。リターダーは失敗したフィニッシュの上に注意深く、そして軽めにスプレーすると、その失敗をフォローしてくれる。
 リターダーの他の利点は、フィニッシュが吹き付けられる直前に、早すぎる乾燥によって起こる「ゆず肌」(粒子の粗い、石目)をコントロールする助けになる。失敗や「ゆず肌」を防ぐために、通常の基準のラッカーにキャップ1杯か2杯を加えても何の問題もない。
 適した実験をすることで、レギュラーラッカーシンナーにリターダーを加えることで、ハケ塗り用のラッカーを作ることができる。特製のハケ塗りラッカーが手に入る。とは言え、目的のためにはそれで良いのだ。というのは、ラッカーは乾くのが早い、ハケ塗りラッカーは単なる塗料よりも使うのが難しい。シュラックのように乾くのが早く、フィニッシュをハケで引っぱらずに二度塗りするのはできないからだ。サンディングと連続した塗膜で、ハケ塗りラッカーは素晴らしいフィニッシュを作り出す。柔らかくはあるが、複雑なスプレー準備を正当化することがないくらいの小さなリペアには、ギターフィニッシャーにとって、主たる有用性があるはずだ。
 Water(水)
 水は、ウォータベースフィニッシュには、初期の清掃溶剤や薄め液として、推薦できる。
最高の清掃のために、グリコールシンナー、あるいはラッカーシンナーに続いて用いる。水は、水溶性のステインを薄めるのにも使われ、接着剤を柔らかくしたり、掃除をするのにも使われるし、木の準備段階で木目を浮き上がらせるのにも使う。