Guitars590’s blog

愚か者の力を馬鹿にしちゃあいけない。

CHAPTER 7
Spraying Basics

 スプレーイングについて我々が知っていることは、すべて自己流で学んできた。(あなたにはその必要がないが)ラッカーの薄め方やスプレー用具の使い方、仕上げの段階での無数の問題をどう乗り越えるか、ということをトライ・アンド・エラーで学ぶのは時間の無駄である。シリコンが原因で起こる「魚の目」についても知りたいとは思わないだろう。(実際にあなたは経験するだろう。だから、「魚の目」による汚染を、どのようにしてきちんと取り去るか教えよう)そして、ギターフィニッシャーに会えば、みんな「どれくらいの圧で吹いている?」と言い合っている。この章では、総てを話そう。

Thinning Lacker
 溶剤ベースの塗料は、スプレー・ガンを使って噴く前に、薄め液を加えるとうまく働くようになる。(工場で使われる「圧力ポット」や「ヒートシステム」は薄めないで用いられるので、ここでは除外する。)ポリウレタン、レディ・トゥ・スプレー、ギター・ラッカーそれからウォーター・ベース・フィニッシュなど多くの既製品(市販品)は利用するのに適正な粘度になっており、薄めることは求められていない。(そうは言っても、時にはやはり薄める場合もあり得るが)塗装の仕上げの経験を積んでいくと、自分自身の薄め方の方法論が解ってくるだろう。きちんとしたサンディングとバフィングのためにフィニッシュのクリアコートを積み重ねていくのは時間の無駄である。手っ取り早いのは、できるだけ厚くクリアラッカーを噴けばいい。しかし、ラッカーの厚塗りはラッカーが垂れる(コーナーや鋭い角の上に塗り重ねたラッカーが引き起こす)というの問題の原因になるし、気泡を作るという傾向もある。気泡は通常コーナーの部分に見られる、またカッタ・ウェイの内側やネック・ポケット、メイプル・フィンガーボードのフレットなどの部分では特に目立ってしまう。そして、ネックとボディのジョイントの部分など、どんな場所でもラッカーをスプレーすれば気泡はできてしまうものなのだ。ハケ塗りでもやはりこの問題は起こる。
 もし、あなたがきちんとした道具とラッカーを厚塗りするためのスキルを持っているのなら、そのやり方に従うのが良いだろう。(我々の意味するのは大きなコンプレッサーとプレッシャー・フィードの道具、それからヒーテッド・システムのことだ)高粘度のラッカーで素早く作業する。だから、あまり薄めないことが要求され、コーティングの回数が少なくて済むのである。これは費用と時間を省いてくれて、環境にも良い。(ありがたいことに、コーティングの回数が少ないということは、サンディングも少なくて済むということだ。)
 そうは言っても、実際はさらなるコートが必要になてくる。さらなるスプレーイングとさらなるサンディングが求められる。すると液だれが簡単に沢山できてくる。たぶん、ビギナーは上記の問題を避けるために、ラッカーをやや薄めにする方向で安全にし始めることだろう。例えば、経験を積んだギターフィニッシャーの作業では、厚い(重い)ラッカーによる気泡よりも、充分に薄めたラッカーによる液だれの方がよく見られる。塗料が乾いたときに液だれはサンディングできるが、気泡は溶かさなければならない。そして、溶剤で消去するか、鋭い道具でそぎ取らねばならない。他にもラッカーを薄める利点はある。それは、より小さなコンプレッサーが使えるということだ。(厚い・重めのラッカーは5馬力以下のコンプレッサーでは上手く噴けない。)結果として我々は表面に気泡や小さな飛沫が残らないように、ラッカーを薄めることになるのだ(特にリターダ・シンナー)。
 気泡はラッカーの粘度をどうするかの鍵を握っている。つまり、どれくらい薄めることが必要なのかを決定するし、どのようにスプレーしたら良いのかを決定する。室内の気温が上がるにつれて、ラッカーも温まってくる。すると、あなたはスプレーできる粘度を維持するために、シンナーを減らす必要に迫られる。スプレー前、スプレー中、スプレー後を通して、ラッカーと作業場を24度か少々高め(少なくともあなたが温かいと感じるくらい)に保てるのがベストである。
 あなたの使うラッカーのタイプは、薄め液とラッカーの比率に影響を及ぼす。着色ラッカー(着色されたソリッドカラーのラッカー、透明な着色されたラッカーの対にあるラッカー)は、クリアラッカーよりも薄めることを要求される。・・・通常、1対4か1:3の比率である。(次のセクションを参照)勿論、不透明なカラーラッカーが底に沈んでしまわないように振ったり、かき混ぜたりする必要が出てくるだろう。そうすることで、ラッカーの色を一定に保つわけである。