Guitars590’s blog

愚か者の力を馬鹿にしちゃあいけない。

撤退

とうとう世界的な不況の煽りがスポーツ界に波及してきました。スポーツ(と言うくくりに入るか微妙ですが)の中でも最もお金を使うF1ですが、HONDAがとうとう撤退を発表しました。二輪は続けるようですが、もはやHONDA MUSICは聴けません。今回の撤退には前回のそれとは微妙に異なる雰囲気が感じ取れます。前回の撤退は俗に言う、第2期の終了というニュアンスが我々にも感じられ、誰もが「HONDAは帰ってくる。それも近い将来に。」と思いました。そして期待に違わず、21世紀を待たずに復帰しました。今回の撤退宣言はなぜだか復帰のかけらも感じられないのです。
それは何故か?まず、今回の9年間の挑戦は失敗に終わったという思いがHONDA内にあるのではないか?ということ。たしか9年間で1勝しかしていなかったのではないか?無論、第2期のように実力のあるドライバー(この場合実力とはレースで速いだけでなくクルマの開発能力も入ります)と組めなかったのも痛かったでしょう。それも含めて失敗だったという自省の思いがあるのではないか?
次に、世の中の無闇な環境至上主義的な風潮。これにも嫌気がさしたのではないか?HONDAが環境的なカラーリングでボディを作った時に「おい、おい・・・。」と思ったのは私だけでは無いはずだ。
さらに、昨年来のオイル・クライシスである。これで完全に息を止められたのではないか。世界の多くの人から見ればF1は気の遠くなるような無駄遣いである。その無駄遣いの中には当然オイルも含まれる。危機的な化石燃料を絶望的な程ぶちまけながら走るF1。企業イメージとしてF1にしがみつくことのリスクを計った、としか思えない。おそらくHONDAは今後、企業として化石燃料から電気(水素を含む)的な方向に市販車をシフトしていくことは間違いない。これは昨今の環境問題、オイル問題などから疑うべきも無い。そして、HONDAはTOYOTAではない。今後、かなり本気でいわゆるエコ・カーづくりに励むだろう。
では、HONDAはどこへ行くのか?迷走か直線番長か?
個人的には直線番長的なポジションであって欲しい。世界の中で車づくりのポリシーが見られる数少ない企業がHONDAであると信じている。ポルシェは当然だけれど。HONDAはポルシェでもないので・・・。心配されるのは、エコカー的な方向であっても直線番長でいられるかと言うこと。スポーツ的な自動車の生産をうち切り、エコカーに勢力を注ぐ時期があるかもしれない。であっても、将来、そのカテゴリーでF1に勝るレース活動をして欲しいモノである。本来、貴族のものであったF1が、世界中の人々を熱狂させるようになって久しい。極東の敗戦国である、ちっぽけな島国からヨーロッパに殴り込みをかけた本田宗一郎の功績であると信じている。フェラーリでなくメルセデスでなくHONDAの果たした役割は本当に大きなものであったといえよう。幸せなことに同時代を生きることができた。数多くの偉大なレーサーを見ることもできた。ありがたいことである。多謝。