Guitars590’s blog

愚か者の力を馬鹿にしちゃあいけない。

Sprit varnish(スピリットバーニッシュ)
 これは樹脂を溶かすことによって作られる。通常、シュラックをアルコールや(オイルではなく)テレピン油(だからspiritという)などの溶剤に溶かしたものである。気化する性質を持っており、最初期から楽器のフィニッシュとして用いられているものの一つである。(厳密には、技術的にはラッカーはスピリット・バーニッシュであると言うことができる。それは溶剤の中に樹脂を溶かし込むことで作られているからだ)スピリットバーニッシュがギターのみならず、ピアノや家具のフィニッシュとして、1900年代早期に使われていたので、ピアノバーニッシュとも呼ばれる。シュラックや天然樹脂、その他、水分や耐熱性を改善させるために添加剤を混ぜたものを含む。50年くらいの長期間にわたって酸化したシュラックは、剥がしたり、溶かしたりしにくいという点に着目したバイオリンの或る専門家は、この強化されたシュラックが将来的に剥がしたり、リフィニッシュしやすいので、21世紀になるまでに主流になると信じている。Behlen's Violin Varnishは、そのような強化されたシュラックベースのワニスの現代版バージョンである。
 スピリットバーニッシュは、フレンチポリッシングと呼ばれるテクニックの土台である。
1920年代の後半まで、ギターは大抵スピリットバーニッシュで仕上げられた。アルコールの中にシュラックを溶かしたものからできていて、皮膜を硬くするために、コーパルやサンダラックなど自然の樹脂が通常加えられ、最終的な光沢を得るためにハケ塗りとポリッシングで仕上げられる。この技術はフレンチポリッシングとして知られるようになった。スピリットバーニッシュの何層ものコートを塗るのに、ギターフィニッシャーはその技術を使う。潤滑油としての無機化合油のような、ノンドライのオイルをリネンに包んだコットンボールに染み込ませ、トントンとたたくように木の表面にすり込む。油分は乾いたり、重合したりしないので、シュラック層の表面に浮かび上がってくる。また、spiriting off(訳者注:アルコール抜け?)として知られる段階では、純粋アルコールを使うことで、塗面を溶かしたり、剥がしたりできる。商業ベースでは、フレンチポリッシングは、1930年代初期にニトロセルロースラッカーをスプレーするフィニッシュに変わっていく。ラッカーは塗面を早く簡単に作れるし、塗面には耐久力があり、手入れが簡単である。
 現在、多くのハンドビルダーは、フレンチポリッシュの技術を使ったスピリットバーニッシュ・フィニッシュで仕上げられたものほど美しい塗面になるものは無いと信じている。「フレンチポリッシュの技術で仕上げられた楽器は最高の音質を持つ。」という人もいる。それはフィニッシュが平らで均一で薄くなるからだ。サウンドボードの部分だけにフレンチポリッシュを用い、サイド、バック、ネックはラッカーでスプレーするというメーカーもある。また、フレンチポリッシングはシュラックやラッカー仕上げがされた楽器のリペアやタッチアップに対する最良の方法でもある。

スピリットバーニッシュの長所
・あらかじめ樹脂が混ぜられたものは、使いやすく表面を出しやすい
・スプルースのサウンドボードだと、素晴らしい仕上がりとなる
・ストレート・シュラック・フィニッシュと同様に水分に対して神経質になりすぎる必要 は無い

短所
・保存期間が短い(乾燥していないか、テストをすること)
・熱を持つものに対して注意すべき。そして、水やアルコールで簡単に跡がつく。
 (楽器に対しては重要な問題ではないが)

Padding lacquer(パッディング・ラッカー)
 パッディング・ラッカーはフレンチポリッシングのために商業的に作られた。パッディング・ラッカー・シュラックは、すぐに使えるように、潤滑油(剤)が加えられたものだ。(Qualasoleはよく知られたブランドだ)パッディング・ラッカーは、フレンチポリッシュ、シュラックフィニッシュとほとんど同じ方法であり、テクニックとしてプラスするものも、マイナスするものも無い。揮発成分を蒸発させる必要もない。