Guitars590’s blog

愚か者の力を馬鹿にしちゃあいけない。

 ステインラッカー
ステインラッカー、あるいは鈍く塗られた(dull-rub)ラッカーは、名前が示すとおり、柔らかい外観の艶消しのフィニッシュをもたらしてくれる。艶消しの薬剤を加えることで、艶のあるラッカーをステインラッカーに変えることができる。(塗料製造業者、道具の通信販売業者、充分に在庫のある店舗などで入手できる)艶のあるラッカーで塗られた表面にスチール・ウールで処理することでも、近い外観を得ることができるが、スチール・ウールで処理すると、どこかしら傷ついたような感じになるので、多くの人はステインラッカーを好む。実際、ある範囲で光沢が艶消しになるまでに多くの磨きキズができてしまう。鈍く塗られた(dull-rub)ラッカーは、艶消しの外観をしているが、上手にスプレーされ、滑らかで均一なプロのクオリティーを持ち続ける。鈍く塗られた(dull-rub)ラッカーは、ネックフィニッシュに良く選ばれる。それは、高光沢のフィニッシュよりも演奏するときに手が滑りやすいからだ。ステインラッカーには、バフィングを必要としないという歓迎すべき長所がある。

 アクリルラッカー
アクリルラッカーは1950年代後半に登場する。自動車の一般的な塗料として、ニトロセルロースラッカーに取って代わった。ここ数年、ニトロセルロースラッカーが手に入らないとき、ビンテージのカスタムカラーをマッチさせるのに、我々はアクリルラッカーを利用している。とは言っても、現在ではアクリルラッカーは触媒を使ったり、揮発性有機化合物の排出量が、より少ない製品に凄い勢いで取って代わられている。この本では、アクリルラッカー製品について言及することはあまりない。それは、多くの地域でアクリルラッカーは既に入手困難だからだ。

 シュラック(セラック)
薄片から精製されたばかりのシュラックは、ラッカーの下の層で素晴らしいシーラーとなる。リペアショップでは、リペアワークを通じて、あるいは、オイル、シリコン、その他「魚の目」を引き起こす汚染物質があるときには、いつでも好んで利用される。シュラックはフレンチポリッシング仕上げがなされたときに、それ自身素晴らしいフィニッシュとなる。フレンチポリッシングは、多くのクラッシックギター製作者の好むテクニックである。ハケ塗りやスプレーもできるが(ラッカーに比較すると)厚い塗膜とはならない。注意深いビルダーやリペアマンは皆、シュラックと変性アルコール(例Behkol)を買って実験をしているはずだ。
 乾燥したシュラック片を溶かすためにアルコールを加えたとき、シュラックとアルコールの総量を「カット」という用語で表す。(1ポンドのシュラック片を1ガロンのアルコールによく溶かした場合、それを「1ポンドカット」という。店で売っているシュラックは、やや重ための3〜4ポンドカットで販売されている。だから必要に応じて、薄めて使用する。(4ポンドのシュラックを、1ガロンのアルコールで溶かすと、4ポンドカットのシュラックになるわけだ)一般的に2〜5ポンドカットの範囲でシュラックは薄められるのだ。
 一旦、シュラック薄片がアルコールに混合された場合、その混合物は半年から1年以内に使い切った方がよい。そうは言っても、私たちは6ヶ月以上たってしまったシュラックは捨てることにしている。涼しいところにおいておくと混合されたシュラックの寿命は延びる。もし、棚落ち状態のあらかじめ混合されたシュラックを手に入れたなら、透過性のないものの表面に、何滴もシュラックをたらして乾燥のためのテストを繰り返すことだ。水滴状態を1、2粒と薄く延ばしたものを、そのままの状態で一晩乾燥させてみよう。翌日、薄く延ばしたものは乾き、サンディング可能になっているはずだ。厚い水滴状のものは、親指の爪で押しても簡単には剥がれないだろう。これらの状態になっていれば、シュラックは使えると判断してもいいだろう。でも、まだ心配だったら、使う前にもう1,2回テストをしてみることだ。

シュラックの長所
・様々な素材に対して良く着くので、素晴らしいシーラーである
・木を美しく見せる金色のカラーと質感を持っている
ハケ塗り、スプレー、フレンチポリッシュができる
・油やワックス、シリコンなどの痕跡を塞いだり、封じ込める
・リペアしやすい

短所
・シュラックフィニッシュは、熱に対して敏感であり、(楽器には不要な問題だが)水や アルコールの跡が簡単に残ってしまう
・保存できる期間が短い(混ぜられたシュラックは時々テストする必要がある。)