Guitars590’s blog

愚か者の力を馬鹿にしちゃあいけない。

 ラッカーサンディングシーラー
 ラッカーサンディングシーラーは、サンディングしやすいように粉状の石鹸、あるいはステアリン酸塩(エステル)をクリアラッカーに混ぜたものであり、早く乾燥させるために薬剤を混ぜたり、透明着色剤を混ぜたりし、未加工の木材の粗い表面に対して、充填したり埋めたりするためのものである。ラッカーサンディングシーラーは普通薄めることを必要とする。そして、塗膜の中にステアリン酸塩(エステル)として残留してしまうので、しっかりとかき混ぜなければならない。サンディングシーラーの最大の長所は、クリアラッカーに比べサンディングがしやすい点にある。多くのフィニッシャーは、塗装するための最初期の一層(一番下の層)にサンディングシーラーを使う。だから、必然的に平滑面を出しやすいのだ。彼らはトップコートとして、クリアラッカーをその後噴くわけだ。
 私たちは工房での塗装作業のスピードアップのためにサンディングシーラーはあるのだと考えている。私たちはサンディングシーラーを、すべてではなく適度に利用することを勧める。ラッカー単独で完全に木目をふさぐこともできるだろうし、シュラックやビニール・ウォッシュコートやビニール・シーラーでも木目を完全にふさぐことはできる。シーリング・プロセス(木目をつぶす順序)はChapter 9で詳しく述べる。
 サンディングシーラーの使いすぎは凝着力を損なう(弱める)。サンディングシーラーの厚すぎる層は、次に(上から)塗られるラッカーのアンダーコートとしては柔らかすぎるのだ。これは硬質のトップコートに割れやひびをもたらしてしまう。チューニング・キー・ホール(ペグ・ホール)の周辺や、その他のルーティングやドリルで空けた穴の周辺の盛り上がりの原因になることもある。見たところはクリアであってもサンディングシーラーはラッカーほど透明ではない。つまり、最終的なフィニッシュの透明性を損なうかどうかは、サンディングシーラーをどれだけ使うかにかかってくるのである。
 あなたのギター製作に締め切りがないのなら、時間をかけて、クリアラッカーで製作を進めてみよう。素晴らしいクリアフィニッシュのご褒美がもらえるだろう。徹底的に基礎に時間をかけて仕上げるとはいっても、時間は重要である。サンディングシーラーに対する理解が深まれば、自分の判断で切り上げられるようになるはずだ。知っておいて欲しいのだが、現代のラッカーに対するサンディングは、かつておこなわれていたものよりも,容易になってきている。サンドペーパは著しく改善され、フィニッシュのできばえは、より優美になってきた。60年代や70年代のサンディングシーラーをたっぷり使っていた「Old-Time」フィニッシャは、クリアラッカーをサンディングすることを厭わない。

サンディングシーラーの長所
・早く作業できサンディングしやすい。
・少量のシンナーを加えることで、かなり厚くスプレーしても早めに乾燥する。

短所
ステアリン酸塩(エステル)を加えると粘着力を助長しなくなる。
・ラッカーよりは柔らかく(ミルクのようなキャラクタを持っているので)透明性にやや 劣る。また、アコースティック楽器の素晴らしいトーンをやや鈍く、冴えなくする傾向 にある。