Guitars590’s blog

愚か者の力を馬鹿にしちゃあいけない。

Sandpapers

 店頭には目眩がするくらい沢山並べ立てられた研磨剤がある。工業製品用語でサンド・ペーパと呼ばれる物だ。サンド・ぺーパは粒(炭化珪素、アルミ酸化物、ガーネットなど)、バッキング(紙、布、重さの異なるマイラなど)、接着剤(バッキングに粒を留めるための接着剤)、粒のサイズで様々に異なる。ここには、あなたの作業のために正しいサンド・ペーパを選ぶのに必要な情報がある。

 ギター・フィニッシュのためのサンド・ペーパは木工の仕上げのためのサンド・ペーパと何ら変わらない。もっとも、我々楽器製作者はより細かい番手のものを好む傾向にあり、殆どのフィニッシャーは素晴らしい光沢で磨き上げるまで番手を飛ばすことをあまり好まない。バフ磨きの段階のための準備で、最後の水研ぎに至るまで、やはり番手を飛ばすことを好まないものだ。(家具職人は往々にして320〜400番のドライ・サンディングで止めてしまう。そして、0000番のスチール・ウールとワックスで仕上げの渋い光沢を得るのだ。)

Sandpaper grading scales(サンド・ペーパの段階表)

 すべての粒子は均一に作られてはいない。サンド・ペーパは研磨するための粒のサイズを削り具合(切れ)によって大きく4つの工業規格に従って作られている。北アメリカのCAMI規格、日本のJIS規格、ヨーロッパのP規格、それからMicron規格である。普通、サンド・ペーパの裏のマークを見れば、どんなタイプか解るはずである。CAMI規格は数字のみの表記である。P規格は番号の前にPという文字がある。マイクロン規格は「80μ」のようにギリシャ文字の「μ」によって見分けがつく。JIS規格のペーパは、通常、裏に日本文字がある。マイクロン規格は例外であるが、大きな数字になるほど粒子が細かく、小さな数字ほど粒が粗い。(マイクロン規格はこれと逆なわけだ)
 P規格とJIS規格のペーパは番手が似ていて、両方ともCAMI規格との誤差よりも近いものである。マイクロン規格は若干細かい。いずれにせよP、JIS、Micron規格のサンド・ペーパはCAMI規格のものより粒が揃っている。だからペーパ上のちょっと大きな粒子が原因でひっかき傷を作りにくい。粒子は粒子として揃っているので、CAMI規格のペーパよりも素早く力強く削れる。だが、ファイナル・サンディングを行うのにオービタル・サンダを利用するフィニッシャーには価格が高い。とりわけ、触媒、ハイテク・ポリエステル、UV対応の仕上げをする人にとっては少々出費が痛い。
 上記の規格とは別の独自の規格を持つサンド・ペーパに「マイクロ・メッシュ」ブランドのものがある。それらの独自の規格はすべて12,000番手以上の範囲で設けられている。「マイクロ・メッシュ」は最も番手の高い、細かいものである。もし、オールドのビンテージ・フィニッシュ、それも薄い小さな塗面にタッチ・アップをしようとして、ウェット・サンディングをするとしよう。すると、もう修復できないような掻き傷を作ってしまうはずだ。「マイクロ・メッシュ」サンド・ペーパはこのような繊細なビンテージ・リペアの仕上げや、ポリッシングにぴったりである。CAMI規格の安い、番手の低いサンド・ペーパ(100〜320番)は、木をサンディングしたり、フィニッシュ・コートの間のドライ・スカッフ・サンディングなどには充分使える。(スカッフ・サンディングとは、仕上げの前の段階で高い部分や、ゴミ、チリなどを取り除くためのドライ・サンディングのことである)切れ味の良い、より粒の揃っているJIS規格やP規格のペーパはフィニッシングのウェット・サンディングに最適である。